春に沖永良部島(沖縄本島より上、奄美大島より下にある島。鹿児島県に属する)にアリのサンプリングに行ってきました。
沖永良部島へは飛行機でも行けますが、船で、得意のAラインで行ってきました。
今までにも奄美大島やトカラ列島に連れていってくれた安定の船です。

沖永良部島。
島の北西部にあった灯台(ヤゴニヤ埼灯台)。
絵にかいたような灯台で、つい見とれてしまった。きれい。

岬の遊歩道。キラキラ光るすじはカタツムリの通った跡。体から出る粘液が乾燥して虹色の足跡になる。
引き返しているのが良いなー!笑
島の随所に湧水があって、地下水が豊富なのは伺えるのですが、地表を流れる良い感じの流水を見つけるのは手こずりました!そういうところに目当てのアリがいるので、時間もあまり余裕のない中、原付で奔走しました。
あらかじめ地形図や空中写真でチェックしていた場所や、現場で良い雰囲気と感じた場所まで原付を走らせては、あとはひたすら歩いて確認の繰り返し。
山の小道も右に行くべきか左に行くべきか。
結局、森の中に小さな流水を見つけて、無事にサンプリングできました。
良い場所を見つけて、目当ての虫が採れた時の充足感ときたら。。!
そして、前回の渡嘉敷島アリ調査の時もそうでしたが、今回も見つけて一番おどろいたのはアリ以外の生きものでした。
夜、無事にサンプリングを終え、何気なく林縁の地表に積もった落ち葉を見ていたら、派手な体色と殻の模様をしたすごいカタツムリが歩いているではありませんか!

エラブマイマイ(*)。なんというか、すごい。すごく鮮やかですごい!こんなマイマイがいたんですねー!
この時の観察では、シュリマイマイ類15匹に対して1匹ぐらいの割合でエラブマイマイが混じっているような状況でした。
多くもないけど少なくもないような印象。

こちらはあちこちに普通にいたシュリマイマイ類。観察中、エラブマイマイと一緒に歩いてもいた。大きさやシルエットが互いによく似ているが分類上の所属は別。
エラブマイマイ!まったく予備知識なしで発見したので、最初シュリマイマイ類の突然変異個体かと思いました。。

瑞々しいメロンみたいで何ともすてき。
個人的には、アオミオカタニシ(*)の鮮やかさに追随する琉球陸貝界の新星、スゴミメロンマイマイ。
やっぱりエラブマイマイで。
*エラブマイマイ
沖永良部島のみに生息する固有種のカタツムリ。
殻の直径は3~4㎝ぐらいで、明るいオレンジ色の体色が目を引く。
良い感じの森林にすみ、各開発工事で生息地とともに個体数が減少し、環境省と鹿児島県が絶滅危惧種に指定している。
今回の観察では、たまたま本種にとって数少ない生息地だったようで、夜間に落ち葉の上を這う個体がいくつも見られた。
当初、化石で新種記載され、およそ70年後の1970年代になって生きた姿が記録された経緯がある。
人が入島するずっと以前からこの島にすんでて、人が来て荒波にもまれながらもこうして健気に地面這ってて。
こういうやつ、ずっと生きててほしいですね。

アオミオカタニシ。いわゆるカタツムリと違いタニシの仲間で、眼がつのの先でなく付け根にある。かわいい。鮮やかな翡翠色を呈すが、体が色味に寄与しているようで(青身)、殻自体は白い半透明。