先日、やんばる国頭村で開催された昆虫観察会に、ガイドとして参加させていただきました。
沖縄山岳会が主催する種々の生きもの観察会の昆虫版で、参加するみなさんも会員の方が主でした。

リュウキュウルリモントンボ。見慣れていて普段あまり気に留めてなかったけど、こんなきれいな空色してるんだねー。
こちら、何がいるかわかりますか?

リュウキュウチクの葉に紛れるニホントビナナフシでした。
一緒に歩かせてもらってわかったのは、みなさん、虫を見つけるのが上手ということ!ほんとに早い。
僕が見つけるよりも先に、「ここにいます!」「こっちこっちー!」って、虫たちは次々と見つけられていました。
(歩きなれていて、探しなれている、さすがです。)
オキナワナガハナアブ、リュウキュウルリモントンボ、オキナワヒメハルゼミ、ニホントビナナフシ、オキナワカラスアゲハ、イワサキカレハ幼虫、カラスヤンマ、ほかにもたくさん。
初夏のやんばるは虫の影が濃いにしても、果たしてどっちがガイドなのか。笑。
一番おどろいたのが、ムシクソハムシの仲間を採って見せてくれたことでした!
ムシクソハムシの仲間は甲虫目に属する昆虫で、複数種いますが、体長は3、4ミリぐらい。
色は全身黒っぽくて、ゴツゴツした俵のような体型をしています。
葉っぱの上にいるのが目につくことがありますが、そんな見た目だから、動くならまだしもじっとしていたら、名前のとおりもうイモムシかなんかのうんこにしか見えない!

ムシクソハムシの仲間。一見虫には見えませんが。。。
(当日の写真がなくすみません!これは別の日別の場所で撮影したもの)

アップにするとちゃんとハムシであることがわかります。交尾中?
これをよくも虫とわかったものです!
ほかにも、キムラグモの仲間の巣穴を見つけて見せてくれた方もいて、いよいよどちらがガイドかわからなくなってきたとき、思いました。
日頃から自然の中に身をおいて、そこで出会ういろんな『なんだろう?』という気持ちに、大事に器用にしおりをされてるんだなーと。
ひとたび山に戻れば直ちにそんな気持ちに立ち戻って、いくつものしおりが一斉にONになる。
そんな風に皆さん、キラキラしていました。
(これは。やっぱり良いモノをお持ち…!)

学研の昆虫図鑑LIVEに載っている虫はすべて生きている状態の写真なので、現場で虫の説明をするのにとても伝わりやすい。ちゃっかり自分で撮った写真を自慢しつつ!

今回、環境省希少野生動植物種保存推進員の活動の一環として、身近な昆虫の魅力を少しでもお伝えしようと思っていましたが、じつはさらなる目的に、『要注意な外来種の動向』と『要注目な絶滅危惧種の動向』について、沖縄山岳会のみなさんと情報を共有したいなー、とも思っていました。
沖縄山岳会のみなさんは、同好の士と一緒に山に入り、聞けばあっとおどろくほど深山にまで楽しみながら行かれていて、山歩きに関して僕なんかより遥かに精通しています。
虫採りや動物観察が目的だと、そんな深くまで山に入ることはかえって少ないです(サッと行ける範囲で良いポイントを開拓しがち)。
でもそれはある意味盲点で、ずっと気にはなっていました。
例えば、少し前に沖縄本島で見つかった外来種のクロスズメバチは、発見後ほとんど見かけませんが、じつはなかなか人が行かないようなやんばるの奥地に人知れず侵入して増えていたりして…とか、そうした場所にこそ絶滅危惧種のヤンバルテナガコガネをこっそり採っちゃおうとライトトラップが仕掛けられていたりして…とか。
やんばるを少し知った気になっていたけど、全然知らないな…と、どこか焦っていました。

2021年に沖縄本島で見つかった外来種と見られるクロスズメバチ。おとなり奄美大島の在来種アマミクロスズメバチに比べると色鮮やかでとてもきれい。
そんな中、縁あって良くしてくださっている沖縄山岳会のメンバーの方にガイドの件で声をかけていただき、その活動内容の一端を聞かされ、これは、僕の知らないやんばるを教えていただくチャンスかもしれない、思ったのでした。
観察会をとおして、さきほどの外来種や絶滅危惧種などの特徴をお知らせし、少しでも気に留めておいていただいて、山歩きの際に見かけたらお知らせいただく、というような算段です。
本土の「クマ出没情報」のような。
もちろん、あくまで山歩きの楽しみの延長として、活動のお邪魔にならない気軽な範囲でお願いできないかしら、と思っていました。
そして、いざ観察会で、出会う虫に対する皆さんの姿勢を目の当たりにして、やっぱり良いしおりをお持ちだなーと嬉しくなった次第でした。
このしおりこそが、良い虫・目当ての虫との出会いに直結すると、僕は体験的に確信していて、できるだけ24時間ONにしようと、そしてすぐに行動に移せるようにと常に首に吸虫管を下げているのでした。
『自然を楽しむ人、みんなで自然をまもる』、なんて言うと大仰ですが、せっかく情報共有しやすい時代ですから、そうしたみんなで横断的な情報共有がゆるく楽しく継続的にできたらなーなんて思います。
またの観察会が楽しみです。
沖縄山岳会の皆さん、ありがとうございました!