お越しいただいた皆さま、本当にありがとうございました!
今回の観察会は、1回目の11/12の天気が雨のちくもりだったので、晴れた11/19にも2回目の観察会を催行しました。
湿った日の観察会は、カタツムリや両生類たちとの出会いが楽しいのですが、やっぱり八重岳の観察会といえば山の上の天界フィールドが醍醐味。
パリッと晴れた日に飛ぶ虫と山の景色も楽しんでほしい!と思ったのでした。
全国的に季節が急速に移ろうこの時期は、暖かかった沖縄にも冷たい北方の空気が日ごとに到着して、山は着実に冷え込んでいきます。
そんな中の暖かい日差しは、やっぱり虫たちにはたまらないようで、2回目は1回目の観察会にも増してチョウ、ガ、トンボが飛んでいました。
2回目の様子。晴れてるから上の方まで上がってみよう!(雨や霧が出ているときもいよいよ天界な感じでとても良いけど)
左側の下界に伊江島たっちゅーを見下ろして。
眼下に屋我地島、はるか向こうにやんばるの山々が見える。
アルカエの自然観察会では、参加された皆さまに、本物の生きた昆虫などをありのまま感じてほしいなーと思っています。
採集禁止の種や噛んだり毒のある種は別として、現れる虫をできるだけ、採ってみたら?と子どもたちにすすめています。
君ならこの虫、どうつかむ?って、採った後も様子を見ることが多いです。
この、虫(自分以外の身近でか弱い命)に対してある程度一貫して対応を任せるのが大事と思っています。
子どもたちは意外にも?虫を弱らせたくなくて、採った後どう扱っていいか訊いてくることがあります。
ここで、例えばチョウの鱗粉の大事さとか、長いこと手で持ってると弱ることなどを人に例えて話をすると、すごくちゃんと聞いてくれます。
このとき、命に対しての死への距離みたいなものを感覚的に感じとっているのかな、と想像しています。
これ以上やると弱ってしまうなとか、逆になんで元気なんだろうとか、そういったことに関心を示すことが多いです。
こういうことは知識ではわかり得ない大事なことだと思っているので、是非肌で感じてほしいです。

採った虫と一緒に虫カゴに入る。シンプルだけど楽しくて驚きがあります。チョウが指にとまったり顔にとまったり、好かれてる?
今回の観察会から『採った虫と一緒に入れる!巨人の虫カゴ』を設置しました!
大きなタープテントに採った虫と一緒に入るだけですけれど。笑
この試みは、虫を狭い虫カゴにずっと入れて弱らせないためだったり、虫を同じ空間で間近に観察することができるからだったり、自分が採った今日一の虫をみんなで一緒に観察できるからだったりと、いつもは逃げていってしまう虫と同じ空間で過ごすひとときがあってもいいな、むしろ虫カゴに入りたいな!と思ったのがきっかけで企画したもので、是非ともみんなで体験したいことでした。
セキュリティーが甘い!(隙間から逃げられる)とのクレームが数件寄せられましたが、好評でした!(その後、妻の正しい構造理解によりクレームは大きく改善されました)
観察できたら、みんなで、ありがとう!ってテントから逃がします。

とてもきれいな蛾2種。同じ仲間で、上がサツマニシキ、下がオキナワルリチラシです。まさかここでサツマニシキまでが現れるとは思っていなかったので嬉しい!2種とも蛾だけど日中に活動する昼行性で、ヒラララララとゆっくり目で飛ぶ。鳥などに食べられないよう体内に毒を具えている蛾で、派手な色やゆっくりした飛び方は自らの危険性を天敵にアピールするためだと考えられている。

泡を吹くサツマニシキ。成虫は眼の付け根あたりから鳥などの天敵が嫌う泡を出します。オキナワルリチラシも出します。試しにこっそり、ちょっと舐めてみましたが、苦かったです(味ではそんなでもお腹の中で分解されて毒が強まって人でもダメージ、とかの可能性もないとはいえないので、真似しないでくださいね!)。

裏面もすごくきれい!上オキナワルリチラシ、下サツマニシキ。

なんとwalking stickの彼が、ナガサキアゲハの『有尾型』を採ってくれました!僕は初めて見ました!ナガサキアゲハの通常の個体は尾状突起(写真の翅のうしろにニョーンと伸びている部分)が無い無尾型なのですが、まれにメスの中に写真の個体のように有る個体が現れます。これを有尾型といいますが、めったにお目にかかれません!採ってくれてありがとう!

秋になると、北風に乗って本土や朝鮮半島などから大移動してきたチョウが沖縄にたどり着きます!そんなチョウのうちの2種、上アカタテハ、下ヒメアカタテハです。ヒメアカタテハは山の上の方だけに現れた。みんな、こんな素早いチョウでもなんなく採るから、僕の出番はもう本当に無い!
コロナの影響でこの3年ぐらいできていなかった観察会ですが、久しぶりに来てくれる子やお会いする親御さんもいて、その元気なようす、子の成長した姿に、なんだかとっても感動してしまいました。
初めてお会いする方も、こうした機会に足を運んでくださるということは、自然を感じたいお気持ちがあると思うので、自然を楽しむ引き出しが増えるきっかけになるといいな、なんて思います。